特産品である黒部スイカの黒部市内唯一の生産農家である中瀬健二さん(77)=同市若栗=は、今年も黒部スイカの栽培を行うことを決意、一日までに畝を作り始めた。
中瀬さんは、昨夏限りで体力の衰えなどから黒部スイカづくりを辞めることにしたが、後継者が見つからないことや、体がまだ動くことから引退を先延ばしした。
中瀬さんは昨年に続いて耕作面積十アールで平均十キロの黒部スイカを約五百個生産する。
十七、十八キロから七キロまでの大きさの長楕円形の黒部スイカができる予定で、七月中旬から収穫する。
県新川農業改良普及センターなどによると、黒部スイカは一九〇九(明治四十二)年から一九四〇(昭和十五)年ごろまで、黒部川左岸の黒部市で三十二ヘクタール生産されていた。
同右岸の入善町では九十六ヘクタールが生産され、日本一のスイカ産地を形成した。
その後、戦時中の作付転換や改良の丸玉種などに圧倒され、生産面積は一九六五(昭和四十)年に約八ヘクタールまで激減した。
近年は後継者不足や手間がかかる割りには利益が上がらないため年々、生産農家が減少し、一人だけになった。
中瀬さんは「黒部スイカをもなか、ようかんなどの材料として使っている黒部市内の和菓子製造会社から今年も生産を頼むと依頼されたこともあり、黒部スイカづくりを続けることにした」と話している。(富山新聞)
—
小学校の社会科の教科書にも載っていた、黒部ズイカ(黒部スイカ、入善スイカ、ジャンボスイカ・・・呼び名はいろいろ)。
77歳の老人が、唯一の生産者か。
ひどいことになっている。
でもこれはきっと、商売として生産している最後の人ということで、商売気は無いが自分と近所の人のために畑の隅で作っている、という人はいるだろう。
そんなに生産者にとって魅力が無いものか、黒部スイカ。
確かに丸玉の普通のスイカに比べると少々水っぽいが、不味いということはないし、何よりあの大きさと、天地をわらじで挟んだラッピングがチャーミング。
私は、いつか県外の知り合いにこのスイカを送って、ビックリさせてせてやろうと思っていたのだが、毎年機会を逸している。
こんなことになっているのなら、来年は入手できなくなるかもしれない。
送ろうか、今年。